組織培養培地は、主に無機塩類（主要栄養素および微量栄養素）、ビタミン、炭水化物（例：ショ糖）、アミノ酸、および植物ホルモン（例：オーキシン、サイトカイニン）といった成分から構成されています。これらの成分の配合比率は、各植物種や、例えば植物体の増殖、発根誘導、または胚発生といった培養目的に応じて調整されます。特に斑入り植物においては、ホルモンの種類と量の調節が、その色彩や斑の模様を維持するために重要となります。

組織培養の培地組成（レシピ）には様々な種類があります。それぞれの組成は、各植物種のニーズに応えるために開発されてきました。よく用いられる培地の例としては、次のようなものがあります。

• MS培地 (Murashige and Skoog): 広く用いられている基本的な培地で、多くの植物種に適しており、無機塩濃度が高いのが特徴です。

• B5培地 (Gamborg's B5): MS培地よりも無機塩濃度が低く、少量の無機塩を必要とする特定の植物種にしばしば用いられます。

• White培地: 古くからある培地で、主に根の培養に用いられることが多いです。

基本的な培地組成に加えて、各植物種に合わせて組成を改良することは、植物ホルモンの量を増減させたり、特定の有機物を添加したり、または培地のpH値を調整したりすることによって可能です。斑入り植物の場合、培地の調整には、例えば銅化合物や抗酸化物質など、色素形成を促進したり斑の状態を維持したりするのに役立つ物質の添加が含まれることがあります。したがって、適切な培地組成を選択することは組織培養の成功にとって重要な要素であり、特別の注意を必要とする斑入り植物においてはなおさらです。